大阪の特区民泊がおすすめ!申請手続きの流れや必要書類を徹底解説!
コロナ禍以降、インバウンド(訪日外国人)需要が高まり、民泊ビジネスが急速に広がりを見せています。
その中でも、大阪は世界に最も誇るべき観光都市の一つです。
2025年4月の大阪万博に続き、2029年秋にはIRカジノの建設が予定されるなど、今後ますますインバウンドの需要は加熱していくでしょう。
そこで本記事では、大阪で特区民泊を始めたい人に向けて、手続き方法や必要書類を解説していきます。
1. 民泊営業の種類と特徴
民泊は大きく分けると、簡易宿所・特区民泊・民泊新法に分けることができます。
構造や設備の基準、手続き方法にも違いが見られ、難易度は高い順に「簡易宿所→特区民泊→民泊新法」になります。
旅館業法に基づく簡易宿所に比べ、特区民泊や民泊新法は初期費用や手続きにおいて、参入障壁が低いため、副業や投資対象としてもおすすめです。
簡易宿所としての民泊 | 特区民泊(各自治体ごとに詳細は異なる) | 住宅宿泊事業法による民泊(民泊新法) | |
法令 | 旅館業法 | 各自治体の条例 | 住宅宿泊事業法 |
契約形態 | 宿泊契約 | 賃貸借契約 | 宿泊契約 |
申告方法 | 許可 | 認定 | 届出(家主居住型) 登録(家主非居住型) |
年間営業日数 | 365日可 | 365日可 | 180日以内 |
宿泊日数 | 制限なし | 2泊3日以上(区域により6泊7日以上) | 制限なし |
居室床面積 | 一人当たり3.3㎡以上 | 25㎡以上 | 一人当たり3.3㎡以上 |
住居専用地域での営業 | 不可 | 不可 | 可 |
玄関帳場(フロント)の設置 | 条例による | 不要 | 不要 |
2. 特区民泊とは?
特区民泊の正式名称は、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業のことで、一言で言うと「旅館業法の適用が除外された民泊」のことです。
国家戦略特別区域法第13条に基づき、2016年1月に全国で初めて東京都大田区が取組みを開始されました。
国家戦略特別区域法
第十三条
国家戦略特別区域会議が、第八条第二項第二号に規定する特定事業として、国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(国家戦略特別区域において、外国人旅客の滞在に適した施設を賃貸借契約及びこれに付随する契約に基づき一定期間以上使用させるとともに当該施設の使用方法に関する外国語を用いた案内その他の外国人旅客の滞在に必要な役務を提供する事業(その一部が旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する旅館業に該当するものに限る。)として政令で定める要件に該当する事業をいう。以下この条及び別表の一の四の項において同じ。)を定めた区域計画について、第八条第七項の内閣総理大臣の認定(第九条第一項の変更の認定を含む。以下この項及び第九項第二号において「内閣総理大臣認定」という。)を申請し、その内閣総理大臣認定を受けたときは、当該内閣総理大臣認定の日以後は、当該国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行おうとする事業が当該政令で定める要件に該当している旨の都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長。以下この条において同じ。)の認定(以下この条において「特定認定」という。)を受けることができる。
法律で特区民泊が規定された目的は、旅館業だけで供給しきれない宿泊施設を補い、インバウンド需要に応えるためです。
一部の地域にはなりますが、国家戦略として観光資源を活用するために、宿泊所を整備し、外国人を迎え入れようという意図があります。
現在では、大阪府大阪市をはじめ、寝屋川市、八尾市、千葉市、新潟市、北九州市が特区民泊が可能な地域に指定されています。
旅館業を開始するためには、旅館業法に基づき、都道府県(窓口は保健所)から営業許可証を取得する必要があり、要件を満たすためには構造や設備、必要書類など、数多くのハードルをクリアする必要があります。
一方、特区民泊は、この旅館業法の適用が除外されるため、都道府県に認定を受けることで比較的容易に事業を開始することができます。
ただし、特区民泊は外国人観光客の受け入れを想定した施策であるため、滞在期間が2泊3日以上の宿泊客しか利用させることができません。
なお、2泊3日以上であれば日本人観光客を宿泊させることも可能です。
3. 大阪で特区民泊が認定される地域
大阪府下の市町村で、条例により特区民泊を認めている地域は以下のとおりです。
- 大阪市
- 寝屋川市
- 八尾市
また特区民泊の場合、以下のいずれかに該当していなければいけません。
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
市街地は用途地域と呼ばれる、地域ごとに建物の利用が決められています。
用途地域は、住居系・商業系・工業系の3つに分かれ、さらに細かく分けると13区分に分けられます。
田園住居と住居専用の地域、また工業・工業専用の地域では、特区民泊の認定を受けることができないため注意が必要です。
4. 特区民泊で必要となる近隣住民への説明会
先ほどご説明したとおり、特区民泊は外国人観光客が宿泊することが多いため、文化の違いやルールメイキングが不十分の場合、騒音や喫煙、不法投棄などで近隣住民とトラブルになる可能性が高くなります。
そのため、特区民泊の事業主は、申請手続きの中で、住民説明会を開催することが義務付けられています。
民泊を営業していくためには、近隣住民の信頼関係を構築しておくことが必要不可欠です。
信頼関係がないまま、営業を続けていると、住民から度々クレームが入り、最終的には事業主だけでなく宿泊者にしわ寄せがいきます。
そして、料金をいただく宿泊者の満足度は下がれば、高評価や口コミが得られず、集客できないという悪循環に陥ります。
住民説明会は、近隣住民と信頼関係を構築するための第一歩と言えます。
行政書士などの代理人が主催する場合でも、事業主も同席することが望ましいです。
可能な限り、近隣住民とのファーストタッチである住民説明会には参加しましょう。
4-1. 説明する相手
当該宿泊施設(境界線)を中心に円を描き、10m以下の範囲の建物・住民に対して、説明する必要があります。
説明を行う住民から同意が得られなくても、手続き自体は進めることはできますが、後々のトラブルを避けるために、誠意を持って説明を行いましょう。
状況に応じて、協定書を作成し、条件や約束を書面として残しておくことで、住民からの理解が得られやすくなります。
4-2. 説明する内容
住民への説明が必要な内容は、主に以下のとおりです。
- 建築計画の概要
- 施設の名称・所在地の説明
- 施設運営に関する説明(民泊の種別、管理形態、廃棄物の処理方法)
上記に加え、近隣住民により安心してもらうために、騒音や不法投棄などトラブル防止のための施策、クレームの窓口、火災や事故が起きた際の緊急連絡先なども説明しておきましょう。
4-3. 説明会の流れ
住民説明会の流れは、以下のとおりです。
- 対象となる住民に説明会の案内をポスティング
- 当日、参加者に対し事業を説明
- 不参加者から問い合わせがあれば対応
近隣住民の中には民泊に気をかけているものの、当日、都合がわるく参加できなかった人がいるかもしれません。
不参加者に対して、後日改めて住民説明会を開く必要はありませんが、議事録をポスティングしておくことで納得感を得られやすくなります。
5. 大阪の特区民泊の認定申請の流れ
大阪で特区民泊の営業を開始するためには、都道府県(窓口は保健所)より認定を受ける必要があります。
部屋のリフォーム、消防設備の設置、家具家電の設置、飾り付けや、OTA(Online Travel Agent:宿泊予約サイト)の登録準備、備品購入、清掃スタッフや廃棄物処理業者の手配など、同時進行で効率的に行いましょう。
やるべきことのリストを作成し、進捗を管理するのがおすすめです。
民泊の成功の秘訣は、いち早く集客し、スタートダッシュが切れるかどうかが重要になります。
ここからは申請から認定を受けるまでの流れを、5つのSTEPに分けて解説していきます。
STEP1. 事前相談
簡易宿所や特区民泊は、住宅宿泊事業法による民泊や一般よりも建物の構造・設備の要件が難しくなります。
物件を取得(購入または賃貸)する前に特区民泊の所在地を管轄する保健所と消防署に事前相談が必要です。
相談に行く前に、予約を入れておき、当日は物件資料(住宅図面・マイソク)を持参しましょう。
事前相談で確認すべき内容は以下の2つです。
- 当該物件は特区民泊の要件を満たしているか
- 要件を満たすために必要な構造・設備は何か
必要なリフォームや住宅設備、消防設備が分かれば、ある程度の予算を組むことができます。
消防設備の設置工事の見積もりを取り、必要な工事を進めましょう。
工事完了後は、消防署の職員に現地調査があり、消防設備に不備がなければ消防署より、消防法令適合通知書が交付されます。
STEP2. 住民説明会・事業計画の周知
保健所や消防署に事前相談が終われば、近隣住民に対して、4章で解説したように住民説明会を開催する必要があります。
エリアによっては住民説明会が不要の場合がありますが、その場合でも個別訪問やポスティングは必ず実施しなければいけません。
STEP3. 認定申請
住民説明会が完了すれば、次は必要書類を作成・収集し、保健所に提出します。
特区民泊の認定申請に必要書類は、以下のとおりです。
- 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)特定認定申請書
- 住宅図面(間取り・床面積・設備等がわかるもの)
- 付近見取図
- 住民説明会の議事録(説明に使用した資料含む)
- 近隣住民からの苦情や問合せに対応可能であることがわかる資料
- 消防法令適合通知書の写し
- 水質検査成績書の写し(使用水が水道水以外の場合)
- 賃貸借契約書の写し(賃貸物件の場合、民泊許可の記載があるもの)
- 管理規約の写し(分譲物件の場合、民泊禁止の記載がないもの)
法人の場合
- 定款(または寄付行為)
- 登記事項証明書(役員等の名簿添付)
個人の場合
- 住民票の写し(発行日から3ヶ月以内)
必要書類の準備ができれば、下記の窓口に提出します。
民泊新法の申請手数料は無料ですが、特区民泊の場合、申請手数料21,200円が必要になるため注意が必要です。
担当部署:大阪市 保健所 環境衛生監視課(旅館業指導グループ)
所 在 地:〒541-0055 大阪市中央区船場中央1丁目 2 番 1-B119 号(船場センタービル1号館地下1階)
電話番号:06-6647-0692
[大阪市HP]国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区)
STEP4. 現地調査
提出した必要書類に不備がなければ、保健所の職員による現地調査が行われます。
基本的には、提出書類と相違がないかの照会が行われますが、構造の欠陥や住宅設備の不足により保健衛生上の問題があれば指摘がある可能性があります。
問題があり指摘を受けた場合は、その内容を改善し、再度、保健所の職員と現地調査の日程を調整しなければいけません。
STEP5. 認定書の交付
現地調査をクリアすれば、保健所から特区民泊の営業する認定書が交付されます。
認定書を受け取り次第、OTA(Online Travel Agent)に認定書の情報を登録し、宿泊者の集客を開始しましょう。
知名度があり、宿泊利用者が利用することが多いOTAは以下のとおりです。
集客UPと予約管理のバランスを考え、自分に合うサイトを利用しましょう。
Airbnbは最も利用者が多く「民泊=Airbnb」と言われるぐらい有名なサイトのため、登録は必須です。
また、Booking.comも高い集客力を持ち、管理がしやすいため、登録しておくことをおすすめします。
物件が良ければ、Airbnb と Booking.comだけでも十分集客できますが、不安な場合は、他のOTAも操作してみて使いやすいものを活用しましょう。
6. まとめ
民泊新法は年間180日しか営業できないため、常時満室稼働できような優良物件・スーパーホストの場合であっても、単純計算すれば売上は半分になります。
一方、特区民泊は、居室床面積25㎡以上で、2泊3日以上の宿泊者限定になりますが、年間365日フル稼働させることができるため、民泊新法よりも多くの集客・売上が見込めます。
実際には集客と稼働日数の他に、料金設定・単価も重要な要素となるため、「集客×単価=売上」を最大化できるように、バランスよく調整することが大切です。
特区民泊は大阪市・寝屋川市・八尾市など限られた地域でしか行えませんが、民泊ビジネスにおいて大阪にお住まいの方はもちろん、遠方の方でも特区民泊にチャレンジする価値は十分にあります。
「小さくはじめて、大きく育てる。」
この意識を持って、マンションの一室(25㎡以上)から始めてみてはいかがでしょうか。
ノア行政書士事務所では、民泊をこれから始められる方に向けて、物件探しや申請手続きの代行を行なっております。
民泊ビジネスはスタートが最も重要です。
民泊手続きに少しでもご不安のある方や、手続きをする時間がない方はお気軽にお問い合わせくださいませ。
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